私は、床屋難民だった。
前回美容室で髪を切ったのが7月なので約3ヶ月髪を切っておらずボサボサのバルボッサである。まさにパイレーツオブカリビアンといったところだろうか。
というのも、いつも行っている美容院が異端してしまい、まだ開店もしていない。といっても長年通ってる美容院というわけでもなかったので、新しい床屋さんを探さなければいけなかったのだが、どうにも重い腰が上がらない。気づけば癖っ毛の私の髪は大いに盛り上がり、前髪は目に入り放題、朝起きれば寝癖はアートである。これはそろそろ髪を切りたいというか、切らねばという使命感で床屋を探した。
すると、家の近くに外観が小洒落たバービーショップがあった。もともと髪型に無頓着な私は床屋の知識などほとんどない。注文も「ツーブロックであとはすいてください!」で終わりである。いつかイメチェンもしてみたいが面倒臭いが勝つ。さっさと切って帰りたいのだ。
さて、髪の毛の知識が全くない私はバーバーショップ、理容院、美容院。さっぱり違いがわからない。そこで調べてみた。
美容院…容姿を美しくするための店
理容院…容姿を整える店
バーバーショップ…容姿を整える+α
なお顔剃りは理容院側にしかないらしい(俺調べ)
なるほど、私にはバーバーショップで十分なようだ。料金も安い。
ということで、私はバーバーショップに足を向けたのだった。
初めての店というのは緊張するものだ。たが、予約したからには行くしかない。
店主は私が仕事終わりに来た遅い時間にも関わらず、仕事を引き受けてくれた。
中はこぢんまりとしており、店主が1人で切り盛りしているようだった。
店主の印象は少し怖い。ラッパーかと思った。容姿のことなのであまり特徴は書かないが、美容院に行っていた時の担当の人はおしゃれなお兄さんといった感じだったが、今回の店主は職人のニイちゃんと言った感じだ。
だが、見たことのないワックスやシャンプーがたくさんあり、店の至る所に様々なステッカーが貼ってあった。他にも細部まで内装もこだわっているようで趣のあるお店という印象だった。
私はいつものように注文し、椅子に着いた。
美容院の時はお兄さんが息つく暇もなく話をしてくれていたが、ここの店主ははなしかけてくることはなかった。美容院の時は(そんなに話しかけなくていいのになぁ)と思っていたが、話さないは話さないで(少し気まずいなぁ」と思ってしまう。なんて、この世はいきづらいのだろうか。いや、私がわがままなだけか。
着々と切り進んでいく中で気まずさにも慣れてくる。そうすると、様々なことが気になっていく。
例えば当たり前のように座っている椅子。自動でリクライニングしたり、くるくる回ったり、座り心地もいい。これいくらするんだろう…調べてみました。
どうやら、バーバーチェアと呼ばれるらしく、物によって値段は変わるが高い物では70万とからしい。
わぁあおぉ
髪を切って帰ってきてから調べたんですけど、これらは高級椅子に座れると思うと心躍りますね。
金があったら普段使いの椅子として買おうかな。嘘。
さて、いつの間にか髪が切終わり、シャンプーの時間。少し強めの力でガシガシとシャンプーされる。
このちょっと雑な感じ…お父さん?
小さい頃親父と風呂に入ってることを思わせるようだった。
そして、手際がいい。次々と工程が進んでる感じが気持ち良い。
終わりまでほとんど会話はなかったがこれはこれで落ち着きがあって、初めてなのに信用を感じる。まさに、職人と言ったところだろうか。
「また来ます。」とだけ伝え、私は店を出た。
髪を切るって生まれ変わるくらい気持ちいいなー!